7.プロテアーゼ阻害剤に関連した高脂血症の臨床的検討

分担研究者: 安岡 彰(国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター 医長)
研究協力者: 照屋勝治、川田真幹、石崎有澄美、砂川恵伸、中島由紀子、田沼順子、矢崎博久、源河いくみ、立川夏夫、菊池 嘉

(国立国際医療研究センターエイズ治療研究開発センター)

研究要旨

強力な抗HIV療法(HAART)はHIVの予後を著明に改善させた。しかし、プロテアーゼ阻害剤(PI)に関連した有害事象として高脂血症を合併することが知られており、それによる心血管病変のリスク上昇が懸念されている。今回、我々は当センターにおける、PIに関連した高脂血症について臨床的検討を行った。検討に用いられたデータは随時採血のものであり、必ずしも空腹時採血のものではなかった。高脂血症は4ヶ月以内の検査値(随時採血)が3回連続で中性脂肪(TG)>300mg/dlあるいは総コレステロール(TC)>250mg/dlとなるものと定義した。

  1. PI別の高脂血症の頻度:各PI治療あるいは無治療を4ヶ月以上経過観察できたSQV 53例、RTV 22例、IDV 142例、NFV 191例、APV 14例、LPV/r 18例、RTV/SQV 83例、RTV/IDV 49例、無治療 348例を対象とした。高TG血症の頻度はそれぞれ0%、4.5%、7%、14,1%、14.2%、22.2%、30.1%、24.5%、0%であり、高TC血症の頻度はそれぞれ0%、0%、1.4%、5.8%、21.4%、16.7%、9.6%、10.2%、0%であった。
  2. NNRTIへのスイッチ後の変化:PIからNNRTIへスイッチし、かつ6ヶ月以上経過観察できている19例を対象とした。血清脂質(随時採血)はスイッチ前3ヶ月以内の連続3回の平均を前値とし、スイッチ後3-6ヶ月の連続3回の平均と比較した。その結果、スイッチ前に高値を認めた症例ではスイッチ後に有意な値の減少が認められた。
  3. 薬物治療の成績:9例においてPI治療を継続したまま、高脂血症薬による治療介入が行われた。うち7例で高TG血症が8例で高TC血症を認めた。介入前3ヶ月以内の連続3回の平均を前値とし、介入後3ヶ月以後の連続3回の平均値と比較すると、TG、TCともに有意な減少を認めたがその効果は十分ではなかった。