| 1.新しい抗HIV薬の開発にかかわる臨床研究 |
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分担研究者:満屋 裕明(熊本大学医学部免疫病態学内科学第二 教授) |
| 研究要旨 |
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我々は予てからプロテアーゼ阻害剤(PIs)の開発を進めてきたが、今回多剤耐性臨床株を含む広いスペクトラムのHIV-1に対して高度の活性を示す新規のPI 、UIC-94003/AMC126を同定した。UIC-94003は既存のPIが主としてプロテアーゼの活性部位の側鎖に結合するのと異なり、主要な活性部位であるAsp-29とAsp-30の主鎖(backbone)と極めて強固な水素結合を形成することから多剤耐性株を含む広いスペクトラムのHIV株に活性を発揮すると思われた。 他方、HIV-1のPIに対する耐性発現の機序について検討、耐性獲得にプロテアーゼでのアミノ酸置換だけでなく、Gag部分のnon-cleavage sitesでのアミノ酸置換が重要な役割を果たすことを明らかにした。他方で、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤 (NRTIs) に対する多剤耐性HIV-1 変異株にも強い活性を発揮する一連の新規のNRTI、4'-ethynyl-2'-deoxynucleoside(dN)誘導体を同定、HIV-1の4'-ethynyl-2'-dN誘導体に対する耐性発現の機序について検討を加えた。 ケモカインとケモカインレセプターに着目して、HIV-1阻害剤の開発の可能性を探った。まず、CCR5に結合するケモカインにLD78β (ヒトMIP-1aのバリアント)のNH2端の6個のアミノ酸をアラニンに置換して、何れのアミノ酸が重要な役割を果たしているかについて検討したところ、LD78βのNH2ループの修飾を最適化することで、ケモカインの結合能を大きく変更することなく抗HIV-1作用のみを増強した修飾ケモカインを用いた接着阻害剤開発が可能であることを示した。一群の新規のCCR5 antagonists、spirodiketopyperasine (SDP)誘導体の同定にも成功した。SDP誘導体はnon-chemotacticで Ca2+ flux を起こさず、HIV-1BaL、HIV-1JRFLなどの実験室株やmacrophage-tropic HIV-1 (R5 virus)や多剤耐性臨床分離株に対して強力な抗ウイルス効果を発揮、T-tropic HIV-1 (X4 virus)に対する抑制効果はなかったが、CCR5 antagonistによると思われるX4 virusの増強作用もなかった。HIV-1は生体内ではX4 virus とR5 virus が混在し、多種類のHIV-1が存在しており (quasispecies)、CXCR4 antagonistまたはCCR5 antagonist 単独では十分な増殖の抑制は得られない。しかし、SDP誘導体はCXCR4阻害剤であるAMD3100と併用することで、X4 とR5 virus双方の増殖を強力に抑制する。SDP誘導体をNRTIs やPIと併用すると、相加作用が見られたが、拮抗作用は観察されなかった。試験管内での耐性HIV-1誘導を進めているが、20 passagesを過ぎてもIC50値の3倍程の上昇しか見られておらず、有意のアミノ酸の置換も見られていない。ケモカインの細胞への結合の阻止は何らかの機能異常をもたらす可能性がある。そこで、ケモカイン結合阻止能が弱く、しかも強力なHIV-1感染阻止能を有する誘導体のデザイン・開発を進める。 今後は開発中の各種化合物について、抗HIV活性に加え、薬理学的動態に優れた新規化合物の開発をさらに続け、臨床試験、臨床応用を目指す。 |