日本在住のCSWにおけるHIV、STD関連知識・行動及び予防・支援対策の開発に関する研究

-研究要約-




グループ長: 池上千寿子(ぷれいす東京)
班   員:

要友紀子(SWASH)
木原雅子(CAPS)
木原雅博(神奈川県立がんセンター)
沢田 司(SWASH)
不動 明(SWASH)
松沢呉一(SWASH)
水島 希(SWASH・京都大学大学院理学研究科)
桃河モモコ(SWASH)
森 あい(SWASH)

研究協力者: 熊本悦明(札幌医科大学)
大里和久(大阪府万代診療所)

 

【 研究要旨 】

  1. 本研究はCSW当事者が参加する研究グループ(SWASH)による研究の初年度であり、まず日本における性風俗産業の現状をできるかぎり正確に把握すること、及びCSWに対する質問紙を作成しHIV/STD関連の知識・行動に関する調査を実施することを目的とした。
  2. 本研究は以下の4つにわかれる:第1に、文献調査によって「日本における性風俗産業の沿革」を理解し、第2に、文献及びフィールド調査によって「性風俗産業の構成と業務内容」の分類を試みると共に、予備調査の対象をしぼり(ヘルス)、第3に、質問紙調査を実施する関東と関西の2地区において文献調査、現地調査、電話取材による予備調査を実施し、対象産業の特性を把握し、質問紙調査の対象店をしぼる基準を定め、第4に、対象店で働く女性CSWに対して質問紙調査を実施し、その結果を分析した。
  3. 質問紙調査の対象は、フェラチオを主なサービス業務とする非ホンバン産業の代表的職種であるヘルスで働いている女性である。
  4. 調査対象者達のHIV/STD関連知識は同世代の一般女性についての同様の調査結果と比較するとほとんどの項目において高い知識度を示した。
  5. しかし、HIVとSTDの関係性、STDの経口感染、HIVの検査と治療等については知識が不十分であった。
  6. 職場におけるコンドームの使用率は低かった。これは、CSW本人は「使用したい」と希望しているものの「店の方針」「客の希望」等による非使用が目立ち、店や客への対応の必要性が示唆された。
  7. 職場において実際に行われているSTDの予防行動については「うがい」「洗浄」等が多く、STDとその予防については意識的ではあるが具体的かつ有効な予防方法と疾患についてのより正確な情報提供の必要性が示唆された。
  8. 初年度の調査の計画と実施にあたり、特に現地調査や質問紙作成とプリテストの実施において対象となる当事者あるいは当事者及び対象業種とすでに信頼関係のある班員の参加が重要な役割を果たした。
  9. 同時に性産業での電話調査や質問紙の配布と回収等においていくつかの問題点も明らかとなり、今後の調査にむけてより有効な方法論の方向性が示唆された。
  10. 性風俗産業においては地区や職種による違いだけでなく同一職種でも実態は多様であり、調査結果の一般化は困難といわざるをえない。
  11. しかしながら今回の調査でみられた所見からCSWに必要な情報の提供や、店や客への介入の必要性が示唆され、今後、手法を改善し対象を広げた調査を実施したい。本年度は実施できなかったがSTDクリニックでのCSW調査もあわせて実施し比較していきたい。
  12. なお本調査では対象を女性CSWにしぼったが、CSWには男性もTS/TGも外国籍の人も含まれる。彼らへの有効な調査方法の開発は今後の課題である