わが国におけるAIDS症例およびHIV感染者の臨床疫学と追跡調査
-HIV感染者/AIDS患者グループ研究要約‐
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| グループ長: | 松本孝夫(順天堂大学医学部) |
| 分担研究者: |
岡 慎一(国立国際医療研究センター) |
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【目的】
国内のHIV症例を臨床疫学的に検討し、かつ追跡調査を行うことにより、疫病の疫学的動向、臨床病態の把握と生命予後およびそれに関わる要因や患者背景を明らかにし、国内のエイズ対策に資することを目的とした。
【方法】
平成3年に東京都内全病院に対してそれまでに診療経験のあるHIV症例について所定の調査票により回答を求めた。1年後、それらの症例につき追跡調査を行うと同時にこの間の新規症例についても回答を求めた。同様の方法を年1度ずつ繰り返し平成8年末まで行った。今回は平成8年末までに登録された全症例を対象に、平成11年末時点での状況につき臨床疫学的解析を行った。なお、本調査は凝固因子製剤による感染者は除いて報告を求めた。
【結果】
症例総数は798例であり、同時期までに厚生省エイズサーベイランス委員会(現・動向委員会)に報告された非血友病の患者・感染者数全体の約3割に相当する。また、これまでHIV症例を経験した病院は120病院であり都内全病院の約16%であった。男性660例(82.9%)、女性136例(17.1%)、平均年齢は男性7.1歳、女性28.8歳、国籍は日本576例、外国218例であった。感染様式は711例(89.3%)が性的接触であるが、男性では同性愛が381例で異性間感染210例を上回った。初診時の病期はAC526例、ARC64例、AIDS208例であった。発生疾患はカリニ肺炎141例、サイトメガロウイルス感染症、カンジダ症と続く。病期進展経過では初診時AC例群は10年後に44%が有症状(ARC,AIDS)となった。生命予後を初診時CD4を200以下、200-500、500以上の3群でみると、5年生存率は各々26%、81%、95%であった(図)。平成11年末現在、生存243例、死亡174例が確認されており他は不明である。
【考察】
多数のHIV症例のみられる東京都の病院を対象に調査を行ったが、この症例数は国内の非血友病のHIV症例の実態を十分に反映していると思われる。また、その生命予後等の実態を調査できた研究は他に少なく、義務があると思われた。