T20(enfuvirtide)

現在唯一の融合阻害剤。細胞侵入時におきるGp41の構造変化の段階を阻害すると考えられる。36個のアミノ酸からなる合成ペプチドであり、半減期は3.8時間と短いため、冷蔵庫保存が必要であり、1日2回の皮下注射が必要である。皮下注射による局所症状はほぼ全例に存在する。その症状としては軽度の発赤、腫脹、疼痛からひどい場合には潰瘍形成まである。治療中断に至った例は約3%と報告されている。丁寧な対処(皮下注射の部位をしっかり揉むこと)でより容易に治療継続が可能であると言われている。投与に伴う不便さはあるが、多剤耐性ウイルスの治療においては必須の薬剤と考えられる。

Tipranavir

米国での商品名はAptivus。新規のプロテアーゼ阻害剤。LPV/rtv以後では期待される薬剤。やはりritonavirとの併用が必要(1日400mg)。

TMC114(darunavir, Prezista)

新規のプロテアーゼ阻害剤。LPV/rtv以後では非常に期待される薬剤。Ritonavirとの併用が必要(1回量はTMC114 600mg + ritonavir 100mg、1日2回の予定)。多剤耐性患者に対する効果においてTMC114/rtv + T20では24週目に50c/ml未満率が67%という非常に期待される結果だったが、T20非併用群では37%であった。POWER1と2の全体では50c/ml未満率は40%であった。非常に期待できる薬剤であるが、T20との併用においてその効果が最大限期待できると考えられる。
副作用としては、下痢(14%)、吐き気(10%)、中性脂肪上昇(5.5%)、コレステロール上昇(4%)、ALT上昇(2.4%)、AST上昇(1.8%)との報告がある。重篤な副作用は全体の13%に認められたが、副作用による中断は2%であった。

CCR5阻害剤

T20と同様に、HIVウイルスがCD4細胞に侵入する段階に作用する。3剤の開発が進行していたが、現在maravirocのみ開発中で、aplavirocの開発は肝障害のため中断され、vicrivirocはVicriviroc/AZT/3TCとEFV/AZT/3TCの比較試験での効果が期待したほどではなく、途中で中止されてしまった。CCR5阻害剤は非常に期待されているが、開発は意外に難渋している。
現在開発がまだ続行しているのはmaravirocであり、vicrovirocは既治療患者のStudyのみがつづいている。