トップ > ACCについて > ごあいさつ

ごあいさつ

更新日:2023年4月3日

潟永ACCセンター長
国立研究開発法人国立国際医療研究センター
エイズ治療・研究開発センター長
潟永 博之

 エイズ治療・研究開発センター(ACC)は、薬害エイズ訴訟の和解をふまえ、被害救済の一環として1997年4月1日、国立国際医療センター病院(当時)に開設されました。構成は、臨床研究開発部のもと、専門外来、病棟、医療情報室、治療研究開発室の4部門からなっております。また、被害救済を一層強化するため、2011年7月より救済医療室を併設し、ACCのみならず、院内外の様々な診療科の先生方にもご参画いただいております。

 ACCの第一の任務は、HIV感染者に対する包括的な診療を行い、予後の改善と長期にわたる患者の社会生活をサポートすることにあります。抗HIV療法の著しい進歩と総合医療・全身医療を基盤とする国立国際医療研究センター病院の全科対応に助けられ、ACCを受診する患者の予後・生活の質は劇的に改善しております。2022年末までにACCを受診したHIV感染者は5200名を超えました。この豊富な経験を生かして、ブロック拠点病院、中核拠点病院、拠点病院を通じて全国のHIV診療のレベルアップ・均霑化を行うのも重要な責務であります。このため、医療従事者を対象とした数多くの研修活動を行っております。また、先進的な診療を実践・提供するのも大きな任務であり、感染者一人一人に応じた最適な治療法を開発するために臨床研究や多施設共同臨床試験なども積極的に行っております。世界規模で考えれば、HIV感染症/エイズはむしろ途上国で大きな問題となっています。このため、ACCの活動は国内にとどまらず、HIV感染者の多い途上国、特にアジアの国々との共同研究なども行い、国際貢献を果たしております。

 また、次世代にHIVを残さないための取り組みとして、新規感染者ゼロを目指した予防活動も行っております。現在、日本での感染は男性同性愛者(MSM)が中心となっています。HIVに感染していないMSMのためのSexual Health外来を開設し、他の性感染症も含めた予防活動にも力を入れています。

 このように、ACCでは、豊富な症例数、臨床研究、国際協力などを通じ、感染症全般を学ぶことが可能で、現在多くの若手医師が集まり切磋琢磨しております。HIV診療を通じて、広い視野を持った世界に通用する若手感染症専門医が育成され、感染症診療全体の底上げにつながることは、私たちの大きな喜びでもあります。HIV感染症が、医療分野にとどまらず、社会的にも、政治的にも、大きな問題であることは紛れもない事実です。ACC一同、この大きな難題に正面から対峙する所存でございます。皆様からの幅広いご助言、ご支援を賜れれば幸いです。

このページのトップへ